概要
2024年6月より当院では医学的適応のある方、前回出産時疼痛が強かった方に対して、計画分娩での硬膜外麻酔併用分娩を行うことになりました。
当院では今まで2006年4月より医学的適応のある方に対して硬膜外麻酔併用分娩を施行してきました。
2006年:5例、2008年:2例、2009年:3例、2010年:1例、2011年:2例、2012年:2例、2014年1例、2019年1例、2024年1例となっています。2006年から2024年まで、0.24 %(18分娩/全7348分娩)となっています。その間の帝王切開は824件です。帝王切開の麻酔法に関しては、脊椎麻酔または硬膜外麻酔併用脊椎麻酔です。
詳しい説明は当面は担当医師が外来で説明をしますので、ご夫婦で受診してください。ご希望者が増えてきたら、硬膜外麻酔併用分娩説明会でご説明します。遅くとも34週までにお申し出ください。硬膜外麻酔併用分娩説明書・同意書をお渡しします。
硬膜外麻酔併用分娩管理者:楯浩行(麻酔科認定医、麻酔科標榜医、産婦人科専門医)
硬膜外麻酔併用分娩実施歴:北里大学病院で1年研修(2005年から2006年)
麻酔科研修歴:沖縄県立中部病院(1998年から2000年)、虎の門病院(2005年から2006年)、成田赤十字病院(2006年から2007年)
麻酔担当医;楯浩行です。
急変時の対応
医師・看護師・助産師でNCPR受講者は14名です。
日本産婦人科医会偶発事例報告・妊産婦死亡報告事業に参画しています。
麻酔器・AED・蘇生用設備・薬剤は標準的なものを準備しています。
急変時の対応は、蘇生法講習会(JCMELS,NCPR,BLS,ALSO)を受講しています
重症母体搬送先及び重症新生児搬送先は千葉大学付属病院になります。救急車で10分かかります。
硬膜外麻酔併用分娩の実際
対象
1,医学的適応のある方
2,前回出産時疼痛が強かった方
当院では原則計画分娩での硬膜外麻酔併用分娩を行うことになります。そのため、初産婦の方は原則対象になりません。(初産婦の方は、自然陣痛が来たら麻酔を併用するオンデマンド麻酔をお勧めしています。初産婦の計画分娩の場合は時間がかかりすぎる為、24時間対応が必要になり当院では現状困難です)また、肥満の方は、硬膜外麻酔の挿入が困難なことがあります。また、麻酔担当医が休暇時や出張時には対応できないことがあります。
計画分娩
妊娠38週以降で子宮頚管の熟化や子宮収縮の頻度などを参考に入院の日時を決定します。
頸管熟化が不十分な場合は、処置をすることがあります。
硬膜外麻酔
子宮収縮が始まり、痛みを感じた時点を目安に硬膜外麻酔を始めます。
まず、腰部に針を刺して、硬膜外腔に細いチューブを入れます。(場合によっては、脊椎麻酔を併用することもあります)
分娩誘発中は食事をとることができません。水分(ただし、透明なもの)は摂取可能です。
硬膜外麻酔の合併症について
一般的に、分娩が遷延してしまったり、出産直前にいきむことが難しくなり、陣痛促進剤を使用したり、吸引分娩や鉗子分娩を必要になることがあります。これらの処置により、母体に損傷を起こし膣血種や子宮や肛門などに裂傷を生じることもあります。また、新生児には、頭皮や頭蓋内に血腫を生じることがあります。
また、麻酔が片側だけに効く、まだら効き、効果不十分などで麻酔チューブの入れ替えが必要になりことがあります。麻酔チューブの先端が硬膜外腔以外に部分に意図せず迷入することがあります。血管にはいると局所麻酔薬中毒(耳鳴り、味覚障害、経連、意識消失、呼吸抑制)が起こり、くも膜下腔にはいると全脊椎麻酔(全身の運動障害、麻痺、徐脈、血圧低下、呼吸停止、意識消失)など大変重篤な状態になります。
ただ、万が一発生してしまった場合でも、適切な対応を取れば、後遺症を残すことは稀であるといわれています。当院では現在まで発生したことはありません。
費用
10万円(税込み)
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